- 感情・思考・行動・身体反応の関係 -
私たちは日々、さまざまな出来事に直面し、そのたびに心と体が何らかの反応を示します。「気分が沈んで何もしたくない」「イライラして眠れない」「頭ではわかっているのに気持ちがついてこない」……そんな経験はありませんか?
そんな時は、「認知行動療法」がとても効果を発揮します。
認知行動療法を始める前に、まず知っておきたいのが、「感情」「思考」「行動」「身体反応」の4つの要素とその関係です。これらはそれぞれ独立したものではなく、相互に影響し合いながら、私たちのこころと身体のバランスを保ったり、時には崩したりしています。
今回は、心の仕組みをシンプルに捉えるための第一歩として、これら4つの視点から、私たちの「こころの動き」を見つめてみましょう。
目次
1.感情とは「サイン」である
感情は、出来事や状況に対する「自分の内側の反応」です。「悲しい」「うれしい」「怒り」「不安」「焦り」など、日々私たちはさまざまな感情を経験しています。
ここで大切なのは、感情に「良い」「悪い」はないということです。感情は私たちが今何を感じ、どんな状態にあるのかを知らせてくれるサインのようなもの。たとえば、不安は「何か大事なことを心配している」、怒りは「大切にしたい価値が傷つけられた」といったことを教えてくれるのです。
一方で、感情が強すぎたり長く続いたりすると、日常生活に支障をきたすことがあります。そんなとき、「なぜこの感情が生まれたのか?」をひも解く手がかりになるのが、次にご紹介する「思考」の視点です。
2.思考とは「心のメガネ」
「思考」とは、出来事に対して私たちが自動的に抱く考え方や捉え方のことです。認知行動療法では、これを「自動思考(Automatic Thoughts)」と呼びます。
たとえば、同じ出来事でも人によって感じ方は違います。上司に注意されたとき、ある人は「自分はダメな人間だ」と感じ、別の人は「次は気をつけよう」と思うかもしれません。つまり、出来事そのものよりも、それをどう捉えるか(思考)が感情に影響しているのです。
この「心のメガネ」が偏っていると、ものごとをネガティブに受け取りやすくなり、不安や落ち込みにつながります。認知療法では、この「自動思考」を見つけ、バランスのとれた視点に修正することで、感情の波を穏やかにしていくのです。
3.行動と身体反応も、こころと密接につながっている
感情や思考は、「行動」にも影響します。不安なときに人との接触を避けたり、落ち込んだときに何も手につかなくなったりするのはその典型です。反対に、「やってみたら意外と楽しかった」「動いたら気分が晴れた」という経験がある人も多いはず。行動は感情を変える大きな力を持っているのです。
さらに、私たちの「身体反応」も見逃せません。ストレスを感じると、呼吸が浅くなったり、心拍数が上がったり、肩がこったりします。これは「自律神経」の働きによるもの。つまり、感情や思考が身体に影響を与えているのです。
反対に、身体を整えることも心のケアになります。深呼吸をしたり、ゆっくりお風呂に入ったり、散歩に出かけたり……身体からこころにアプローチすることも有効な手段なのです。
まとめ
~ 心の地図を手に入れることから始めよう ~
認知行動療法では、「感情」「思考」「行動」「身体反応」の4つを整理し、自分の中でどんな連鎖が起きているのかを見つめ直すことから始まります。これを「心の地図を描く」とイメージしても良いかもしれません。
・ある出来事があったとき、自分はどんな思考をしたのか?
・その思考はどんな感情を引き起こしたのか?
・感情により、どんな行動や身体の変化が起きたのか?
このように自分の内面を客観的に観察する力がつくと、感情に飲み込まれそうなときでも「一歩引いて自分を見る」ことができるようになります。
認知行動療法は、「考え方を無理に変えるもの」ではなく、「自分のこころの仕組みに気づき、扱いやすくしていくための方法」です。その第一歩として、まずはこの4つの視点を持ちながら、自分のこころの反応に優しく目を向けてみてください。
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