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本能と理性が行動に与える影響

理性的なはずの自分が、なぜ?

「ダイエット中なのに、ついスイーツに手が伸びてしまう」「計画的に過ごすつもりが、スマホを見ていたら一日が終わった」私たちは、理性で「こうするべき」とわかっていても、それとは逆の行動を取ってしまうことがよくあります。

この矛盾した行動の背景には、私たちの中にある“本能”と“理性”のせめぎ合いが存在しています。

合理的に物事を判断する力を持ちながら、同時に感情や欲求にも支配されやすい。それが人間という存在です。

今回は、「なぜ私たちは、理性的に考えてもその通りに行動できないのか?」という問いを出発点に、本能と理性がどのように行動に影響しているのかを、行動経済学や心理学の視点から紐解いていきます。

目次

1.脳の中の「二人の自分」

2.本能がもたらす「短期的快楽」の罠

3.理性を働かせるには「仕組み」が必要

4.まとめ

私たちの行動は、しばしば“二人の自分”によって引っ張られていると表現されます。

一人は「瞬間的に反応する自分(本能)」、もう一人は「熟考し、計画を立てる自分(理性)」です。

心理学者ダニエル・カーネマンはこの仕組みを「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」と呼びました。

システム1は直感的で、自動的。空腹を感じたら食べ物を探し、危険を察知したら逃げる。原始時代から備わってきた“生き延びるための思考”です。

一方、システム2は、時間をかけてじっくり考える思考。論理的に考え、目標に向けて計画を立て、抑制的に行動を取ることができます。ただし、エネルギーを多く消費するため、常に使われているわけではありません。

たとえば、夜中にアイスを食べたい衝動に駆られたとき、「明日後悔するからやめよう」と止めるのが理性(システム2)であり、「今食べたい!すぐ満たしたい!」と訴えるのが本能(システム1)です。結局どちらが勝つかで、私たちの行動が決まるのです。

                                 

本能は私たちに即時的な満足や快楽を求めさせます。これは、進化の過程で重要な役割を果たしてきました。獲物を見つけたらすぐ狩る、チャンスを逃さず行動する。それが生存に有利だったからです。

しかし現代社会では、この本能が逆に私たちの行動を歪める原因になることもあります。

たとえば、スマートフォンの通知が鳴るたびにチェックしてしまうのも、脳が「即時的な報酬(いいねやメッセージ)」に反応しているためです。これは「ドーパミン報酬系」と呼ばれ、本能的な快楽を求めるメカニズムの一つです。

また、衝動買いや先延ばしといった行動も、本能の声に従った結果といえます。

重要なのは、私たちが「なぜその行動を選んでしまうのか」を責めるのではなく、「そういう仕組みを持っている」ことを理解し、自分との付き合い方を工夫することです。

理性は力強い存在ですが、常に自動で働いてくれるわけではありません。

むしろ、油断するとすぐに本能に押し切られてしまいます。だからこそ、理性が働きやすい環境や仕組みを作ることが大切です。

たとえば、ダイエット中にお菓子を家に置かない、というのは本能を刺激しない「環境の工夫」です。

また、先に目標やスケジュールを書き出しておくことで、後から迷ったときに理性が選びやすいようにする「意図の設計」も効果的です。

行動経済学では、こうした“行動を後押しする仕掛け”を「ナッジ」と呼びます。ナッジとは「そっと背中を押す」という意味で、強制ではなく自然に望ましい行動に導く工夫のことです。

たとえば、貯金を自動引き落としにする、健康的な食品を目につく場所に置く、などがその一例です。

自分の理性を「信じる」だけでなく、「支える仕組みを整える」こと。これが、自分の行動をコントロールするための現実的なアプローチなのです。

まとめ

本能も理性も、どちらも自分~

私たちはしばしば、「理性的でなければならない」と自分を責めがちです。しかし、本能的な衝動も、私たちの大切な一部です。過去の進化の中で生き延びるために必要だった反応であり、それがあるからこそ、人間らしい感情や行動が生まれるのです。

大切なのは、本能と理性のどちらが“正しい”かではなく、「どちらの声も理解し、上手に付き合うこと」です。

理性だけに頼らず、本能に流されすぎず、自分に合った行動のデザインを考えていく。そこにこそ、より自由で満足のいく生き方のヒントがあります。

本能も理性も、どちらもあなた自身。そのバランスを探す旅は、決して「矛盾との闘い」ではなく、「人間らしさへの理解と優しさ」の旅なのかもしれません。

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