名古屋生まれ メンタルヘルスケアサービス(EAP)の ユース.ウェルネスです。
現代人の脳は、デジタル技術が発展しスマートフォンの普及で常に膨大な情報を処理しなければなりません。
情報が溢れる日常で、いかに脳を活性化するかは、これからの時代はさらに重要になってきます。
今回は、最近注目されてDMNを紹介します。
目次
1. DMNとは
DMN(Default Mode Network):デフォルト・モード・ネットワークは、脳が意識的な活動をしていないとき、つまり、ぼんやりしているときに活性化する神経回路です。脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」「楔前部」「下頭頂小葉」で構成されています。
ぼーっと散歩しているときや、コーヒーを飲んで一息ついているとき、とりとめもないことを考えながらシャワーを浴びているときなどに、活発化しています。逆に何かに集中している時は非活性状態です。
DMNの主な役割には、①危機への備えと②情報の整理があります。
① 危機への備え
脳が完全に休んでしまうと、突然の危機に反応しづらいため、脳の一部を待機状態(アイドリング)にして万が一に備えています。
② 情報の整理
脳は以下のプロセスで情報を処理していると考えられています。
入力:五感を通して情報を収集する。
整理:入力した情報を取捨選択する。
出力:言葉や行動として表す。
DMNが正常に働いていれば、脳内情報が整理され蓄えられた情報同士が結びつき、新しいアイデアが生まれ、創造力が高まります。
ただしDMNが活性化しすぎると、脳のエネルギーを使い過ぎ、頭がぼんやりして注意力が散漫になります。余計なことを考えすぎて、不安になり疲れを感じやすくなってしまうの事もあります。
休日に一日中ぼーっとしていると、かえって頭が疲れてるのはこのためです。
DMNが活発な状態と活発でない状態には、それぞれメリットとデメリットがあります。
両方を理解したうえで、DMNの「オン」と「オフ」を切り替えが必要です。
2. DMNの活性化する方法
DMNが活性化すると、脳内に蓄積された情報が自在に結びつきやすくなるため、創造力や発想力の向上が期待できます。
脳内にたまった情報をスッキリと片づけ、脳疲労を防ぐためにも、DMNをオンにすることは重要です。
【観察瞑想】
瞑想は「集中瞑想」と「観察瞑想」に大別できます。DMNの活性化には「観察瞑想」を行います。
1. 調身:背筋を伸ばしつつ、力を抜く
2. 調息:5秒かけて息を吸い、10~15秒かけて吐く
3. 調心:感情・思考を観察する。心をなるべく弛緩(しかん)させて、とりとめのない思考や感情の動きに身を委ねることを目指します。
「夕飯に何を食べようかな」「暑くて湿気が多いな」などのとりとめもない思考・感情が生まれたら「こんな事が浮かんだな」と客観的に観察しましょう。また過去の嫌な記憶「仕事に失敗した」「他人と喧嘩した」や未来の不安「自分の将来」「子供の将来」などが頭に浮かんでも価値判断せず「自分はこんな風に思っているんだ」と観察すると、意識が何にも縛られず自由に発散する状態がつくられ、DMNが活性化していきます。
【PCD(楽しい空想)】
特に楽しい気分になれる空想をPCD(Positive Constructive Daydreaming、ポジティブで建設的な空想)と呼びます。PCDには、脳の集中状態を解除し、心を緩める効果的が期待できます。
・森のなかを駆け回る空想・ヨットの上で寝そべる空想・海岸からぼんやりと海を眺めている空想など、自分なりに心地よくなれる想像をし、心の世界をさまよってみましょう。シーンを思い描く過程で、脳内に眠っているさまざまな記憶が呼び起こされ、DMNの活性化につながります。
【デジタルデトックス】
仕事の休憩時間にスマートフォンを見てしまうと、DMNが活性化しない(ぼんやりできない)ため、息抜きするどころか疲れを余計にためてしまいます。脳疲労を避けるには、スマートフォンを使う時間を管理し、DMNを意識的に活性化させる必要があるのです。
【単純な作業・運動】
掃除や洗濯物干、皿洗いや散歩といった単純な作業・運動などあまり頭を使わない単純作業をしていると、自然とぼんやりした状態になれ、DMNが活性化します。運動の場合も、リズミカルに長時間続けられるものがオススメです。
【仮眠】
DMNは、睡眠中にも活性化します。15分程度の昼寝や、椅子に座ったまま目を閉じているだけも活性化します。
3. DMNの不活性化する方法
DMNの活動を抑制する必要もあります。DMNがオンのままだと、脳のエネルギーがどんどん消費されていくためです。
また、過去の嫌な記憶や将来への不安に苛まれてしまう事もあります。
【集中瞑想】
DMNを抑制したいときには「集中瞑想」が有効です。集中瞑想では、自分の呼吸や身体の一部分に意識を向けます。雑念をシャットアウトして精神を研ぎ澄ます感覚です。
1. 調身:背筋を伸ばしつつ、力を抜く
2. 調息:5秒かけて息を吸い、10~15秒かけて吐く
3. 調心:呼吸に集中する
「調心」では、自分の呼吸に全神経を集中させます。雑念が浮かんできたり、呼吸から注意がそれたりしても焦らず、呼吸に注意を戻しましょう。呼吸に意識を留めようと努めることで、しだいにDMNの働きが抑制されてくるはずです。
【歩行瞑想】
歩行瞑想といっても、歩き方そのものは普段通り。ただし、歩行にともなう動作のひとつひとつに対し、並々ならぬ注意を向けていきます。集中しすぎて危険が無いように車通りの少ない所で行いましょう。
【食事瞑想】
食事におけるひとつひとつの動作を注意深く行なうことで、DMNの抑制を目指すものです。
・箸で食べ物をつかむ・感触・食べ物が口に入る感触 ・かみ砕く感触 ・飲み込む感触など、各動作に全神経を傾けてください。しだいに意識が研ぎ澄まされ、心が落ち着いてくるのを感じられるはずです。
「歯磨きをする」「服を着る」など日常のあらゆる動作は瞑想の材料になるので、瞑想を試してみましょう。
【雑念のコントロール】
DMNが暴走し、雑念や不安が収まらなくなってしまった場合の対処法があります。
捨てる : 心のなかで「もう十分!」と叫び、雑念を頭の外に放り捨てる様子をイメージする。
例外を考える : 心配事が当てはまらないケースを想像する。
賢者の目線で考える : 自分が尊敬する人や歴史上の偉人なら、問題をどう解決するか想像する。
善し悪しで判断するのをやめる : 雑念や心配事について「善い」「悪い」判断せず、中立に考える。
由来を探る : なぜその考えにとらわれてしまうのか、原因を考える。
4. まとめ
DMNは、脳のポテンシャルを最大限に引き出すのカギです。中国の故事では、①馬に乗っているとき、②寝床に入っているとき、③トイレに入っているときに、アイデアがひらめく瞬間と伝えられています。
休んだつもりでも疲れがとれない方や、頭がうまく働かない日が多い方は、今回ご紹介した方法を実践してみてDMNをバランスよく「オン」と「オフ」切り替えましょう。
雑念のコントロールは、自己対話で行う事も出来ますが、信頼出来る人やカウンセラーに聞いてもらうのも良いので使える資源は有効活用してください。
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